Book01

□お礼小話
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抱きしめさせて、許した理由(ヤイシロ)
 莉央様相互お礼小話(オマケ)




「……シロウ」
「…………」
「シロウ」
「……」

 短いため息が、シロウの耳のすぐ側で聞こえた。けれど、シロウは敢えてその主を振り返らない。振り返ってしまったら、何故か負けのような気がしたからだ。

「……Your cold(つれないな)」
「っ?!」

 解らない言葉の後、首筋には小さな痛み。何かと思って、シロウはとうとう痛みの元に視線を向けた。

「やっと向いたか」
「な?!――ヤイバ、お前っ!!」

 怒鳴ろうとしたら、痛みの走った場所に薄くて、でも柔らかな感触が触れた。

「っ!!」
「跡が付いた。」
「……はぁ?!」
「ちゃんと気を使うんだな」
「テメっ――ヤイバぁ?!」

 怒鳴り付けて拳を振り回したが、それは空を切るばかりで一つもヤイバに当たらない。
 そうこうしている間に、エレベーターは目的地に到着。ヤイバは最後の一振りを滑らかな動作で避け、さっさと姿をくらましたのだった。

「〜〜っ!!?!」

 この日の夜は、色々と大荒れに荒れたとか……。


- END -
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