Book01
□お礼小話
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オメデトー。
最初に言い出したのは、俺と瓜二つの少女・リン。
さらに頭の痛いことに、リンはクリスマスの飾り付けを頭にかぶりながら、知らない人達を連れてきた。
「……そちらは、どなた様なの?」
「え? 同じマンション(サイト)の人だょ!」
“だょ”って……
姉貴が破天荒なのは今に始まった話しじゃ無いけど、こうも無茶苦茶だとどうしたらいいのか……
取り敢えず――
「はじめまして、一階管理人部屋横102号室の鏡音レンです」
「私がお姉ちゃんのリン! あと――」
無理矢理連れてきた人の腕を解いて、リンはくるりと踊れように振り向いた。
「アカイト、だ……」
「あれは、居候」
「煩いっ?! それに貴様! リン姉さんと腕を組むとは――」
僕は“煩い”と一喝し、キョトンとしたお兄さん達に深々と頭を下げた。
ついでに、アカイトの頭も一緒に下げさせた。
「は、あ……俺は、405号室のシロウ。こっちが――」
「307号室のヤイバだ」
「俺がその隣のクロキ。よろしくな?」
「俺も居るぜっ?!」
立て続けに三人の自己紹介を聞いたが、何人かとは見たことのある顔触れだった。だが、最後の一人は知らない。
俺は頭に“?”を浮かべて、黒髪の元気そうなお兄さんを見上げた。
困惑したようにそれを受けながら、シロウと名乗ったお兄さんが溜息をついた。
「コイツは同じガーディアンのダイチってんだ。本当はもっと沢山居るんだが、誰かさんがこれ以上は限界だとかで、用事を作られた」
(うっさいわっ?!)
俺も嫌な声を聞いた気がしたが、無視した。
いい加減、リンがこんな暴挙にでた真意を問わなければ。
「リン?」
「ん? 1000Hitのパーティーをしたくて」
「……そ、か。準備してないよ?」
「材料あるじゃん」
「作れないよね?」
「……」
沈黙。
暫くしたら、シロウさんがまた溜息を零す。
「パーティー、な。そういうつもりなら、先に言っておけよ? 材料があるなら、なんとかなっけどな」
この場に居る全員の視線が彼に集中する。でも、自信満々にニカっと笑ったのが妙に頼もしくて、俺はリンの提案に乗っかる事に決めた。