Book01

□東京ANGELOs
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東京ANGELOs



 炎より赤々とし、陽光のように輝くニ対翼が天を駆けた。“ミカエル”の称号を冠する、フィンリル支部きっての炎使いは、茜に染まる街並みを穏やかに見守っていた。

「シロー!」
「! タマか」
「お疲れ様」
「おつかれ。ミッション帰りか?」
「うん。シロは?」
「俺は今日オフ。でも、ミッションが気になるからこれから支部に行く」
「そっか……わたし、ミソラちゃんと約束しちゃったから――」
「良いって、気にすんな」

 ニッと笑って返すと、タマことタマキは最後にゴメンとだけ言い残して飛び去っていった。シロウは遠ざかる薄紅の羽根を茜の中に消えるまで見送り、そして決心したように短く気合を入れた。
 本当は、支部に顔を出すか出さないかを、タマキが来るまでずっと悩んでいたのだ。だが、行くとってしまった以上彼女に嘘を付くのは禁忌。シロウの中での絶対のルールなのだ。

「行くか」

 若干の交通違反をしつつ、一直線に支部へと向った。

「あら、今日はオフじゃなかったの?」

 すぐにラウンジに顔を出すと、カウンターの女性が親しげに声を掛ける。シロウは不器用に笑顔を作ると、ミッションの確認ついでにと応えた。
 しかし、女性はそれが直ぐに建前だと気付いたらしく、彼の本意を見抜いた眼差しで、尚もシロウの言動に言葉を合わせた。

「熱心ね」
「ま、あな……」
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