Book01
□2009年7月7日 七夕祭☆
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2009年7月7日 七夕祭☆ -BLAZER DRIVE-
見上げれば天の川 星屑の海
「フェンリル03、発進するぜ!」
フロンティア船団の民間軍事機関ガーディアンの秘蔵艦マクロスクォーターAS(アサルト)のハッチより、独自開発された一機の可変戦闘機が飛び出していった。
ホワイトシルバーの機体に、赤と水色の装飾の華やかなそれは、オペレーターからの制止を振り切って、漆黒の虚空へと飛んでいく。
「待たないか、シロウ!」
「なんだ、やっぱお前か」
顔の横に表示された仏頂面を横目に、シロウはさらに加速する。ファイターモードのシロウは、怖いものを知らないスピード特化のパイロット。
だが、そんな彼を追う同小隊の先輩パイロットにはまだまだ遅く映る。
短い舌打ちと、呆れを含んだ溜息がマイク越しにシロウの耳に伝わる。
しかし、彼は余所見などしない。
眼前の障害物が、予想以上のスピードで迫ってくるのだ。
さらに、帰艦を促すオペレータの声。
「嫌だね。今日は、特別な日なんだ――」
「シロウ、これ以上規定を違反すると言うのなら、打ち落とす」
低音で、少し隠れたように響く先輩の声に、シロウの手が減速の行動を取る。
恐る恐る後方のカメラをサイド画面に展開すれば、ぴったりと同じ軌道上を翔けて来る青紫の機体。
打ち落とすと言う言葉が脅しでは無いと直感したが、シロウは瞬間息を呑んだ。
後方画面を確認した為のタイムラグにより、遙か前方にあったはずの巨大な隕石に距離を詰め過ぎてしまったのだ。
無断での可変戦闘機の使用に、さらに大破なんてさせたら後でメカニック達になんと言われるか、それを考えると如何にかしなければと推力レバーをめいっぱい引き上げた。
「まったく……Foolishness(愚か者)」
耳の直ぐ側で聞こえたように感じたのは、画面がそこにあるから。ふとそちらを見ると、不敵に笑う先輩の横顔。
「Break――」