story
□涙のちハレ
2ページ/5ページ
― 春 ―
誰もが新しい生活にウキウキワクワクしている季節。
私は…
「どうしてっ!?どうしてわかってくれないの!?」
「お前は何を言っているのかわかっているのかっ!!」
「お父さんやめてよ!天秤だって本気でなんて言っていないわよっ…」
「私は本気よっ!!人を好きになることがいけないっていうのっ!?」
「バカたれがっ!!そんなことは言っていない!!ただ…芸能人に恋なんてしても無駄だっ!!」
「お父さんなんてお母さんなんてお姉ちゃんなんて…みんないらないっ!!大っ嫌いよ!!」
え?何?話が見えてこないんですけどって?
わかるでしょ。「親子喧嘩」よ。
わかりづらい人の為にこの私、
六条 天秤(ろくじょう はかり)が説明してあげるわ。感謝しなさい。
私には好きな人がいる。
彼と出会ったのは中学の時に友達から借りたMD。
そこから流れる彼の声に私は恋をした。
ファンクラブに入り、ライブに行った。
彼はステージの上でメンバーのだれよりも…だれよりも輝いてた…
彼の声が心がこんなに近くで感じることができる…
私は彼が好き…でも、彼は私のことなんか知らない…
彼はバンドのフロントマン、私は高校生。
普通に考えたら絶対に結ばれることは無い…
でも、可能性は0じゃない…!
私はその時決意したの…
あの人と同じステージに立つと…!
その想いを親に告げた。
んで、冒頭の場面。
真っ向から否定する親にムカついた。
無力な私にムカついた。
だから家を出た。
で、東京にいる。←!!?
実家は長野県にある城下町の一つ。
地理が得意な人はしらべてみればいいんじゃにかしら?
「しっかし…困ったなぁ〜…勢いで出てきちゃったから…お財布とギターしか持ってないや…。」
嗚呼…神様…私…この大都会でどうなっちゃうんだろう?