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□鏡
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鏡
あの人を映してほしいと心から願いました。あの子の傍に居る、愛しいあの人を。
あの人は私の傍へは決して来てくれません。私を、決して見てはくれません。
あの人は私の部屋にたくさん居ます。
笑うあの人も、悔しがるあの人も、強いあの人も、弱いあの人も。
あの子と一緒のあの人も、あの子のときにしか見せない表情をするあの人も。
全て、私は知っています。
でも、私の部屋にいるあの人は動き出して抱きしめてはくれないのです。
私のほうを見てもくれないのです。
だから、私は決めました。
あの人を、私の傍に居させようと。
S t a R t