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□鏡
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誰かがそれは間違っていると言いました。

私があの子にやきもちをやくのは筋違いだと、誰かが囁きました。

現れるわけない鏡の中に精一杯手を伸ばしてもそれは私が抱く妄想だ、と。


私はあの人に問います。

愛しい、愛しい、あの人に。

今もあの子が独り占めしてる、あの人に。


結局あの人は何も応えてはくれませんでした。

そうですよね。

私を見てもくれない、話してもくれない、抱きしめてもくれない。

そんなあの人なのに、応えるわけがないじゃない。


でも大丈夫

応えははっきりと、明確に、明瞭に、出ているではありませんか。


沈黙は肯定の証

私はそう、小さい頃から教わりましたから。

あの人は、あの子に監視されて私に言葉で応えを示せないだけなのです。


嗚呼、なんて可哀相なあの人!

嗚呼、なんて憎らしいあの子!


嗚呼、なんて…なんて、優秀な私!

小さい頃の教えを、今でも忠実に再現できるなんて。


嗚呼、きっとあの人も私の思惑に賛同してくれるに違いないわ。


だって沈黙は肯定の証



ですものね



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