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□鏡
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あの子は私の友達でした。
今も、私の大切な大切な友達です。
でも、私からあの人を奪った大切な大切な裏切り者です。
か ガ ミ
私はあの人を見ていました。ずっとずっと前から。
走ったときのあの表情も、あの体つきもあの笑顔も、あの姿も、あの仕草も、あの性格も
私は全ての虜でした。もうずっとずっとずっと前から。
あの人のことなら何でも知りたかった。
あの人を思うことに何のためらいも無かった。
あの人のために私は生まれたんだと教えられた。
私が打ち明けたのはあの子が最初でした。
あの子は私の大切な友達だった。あの人とかわらないくらい愛しい存在でした。
もちろん、今だって。
あの子の笑顔は私も大好きです。
あの笑顔を、いつかこの手でつぶしてあげる。
あの日から私は心に誓いました。
あの人は私の大切な人なのに。あの子はあの人を私から奪いました。
愛しい愛しいあの子は
愛しい愛しい裏切り者になりました。
愛しい愛しいあの子を
愛しい愛しいこの私が、この手で貶めてあげなくてはなりません。
でも間違わないでください。
私は今でも、あの子が愛しくて愛しくてたまりません。
一番の友達だと思っています。
あの子が誰かに恨まれたなら、私はそれを助けるでしょう。
あの子が誰かにいじめられたなら、私はそれを助けるでしょう。
あの子が誰かに殺されそうなら、私はそれから護るでしょう。
だってあの子は私の愛しい愛しい友達。大切で仕方ない裏切り者です。
大切な裏切り者は愛しいままで私の手で朽ちさせてあげたい。
私が殺めるのだから他の誰かがする必要はないのです。
愛しい愛しい、私の裏切り者。
大切な大切な、私の裏切り者。
私が直に、絶望を味あわせてあげたい。その笑顔を歪ませてあげたい。その姿を人前に晒せなくさせてあげたい。その表情を苦しみでいっぱいにしてあげたい。その瞳を血でいっぱいにしてあげたい。その命を無駄なものだと教えてあげたい。
あの人への感情を、無意味なものだと教えてあげたい。
あの人が愛してるのは私だけなのです。
早く、それを気付かせてあげたい。
あの子の堕ちた表情が、早くみたい
凶器=狂気