黄泉帰り
□一話
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翌朝、セレルが扉を開けて部屋に倒れ込んで目を覚ました。
「何をやってるの?楽しい?そんなとこで寝て?」
一瞬、目とともに殺意が目覚めた。
「ほら、朝食に行くわよ」
俺の殺意のこめた眼差しを気にも止めないでそう言いやがった。むしろ、清々しさを感じるね。
セレルについていくと広い大きな部屋に出た。そこには、最初に見たひとよりもさらに沢山の数の人がテーブルを囲んでいた。
「テーブル?寺なのに?」
妙な違和感を感じた。テーブルを囲んでいるのが半数以上女性であったのだ。若い男が一人もいない。男がいても60過ぎた老人ぐらいだった。
寺っていったら坊主だろ?
「それは、寺といっても女学院だもの、当然でしょ?」
そんな当たり前みたいに言われても、初めて聞きましたよ?そんなこと。
「言ってなかったけ?まぁ、いいわ今知ったでしょ?」
そんな会話しつつセレルの隣に座ると、
「何で座ってるの?席なんてないわよ?貴方に」
「えっ?俺の飯は?」
「ないに決まってるじゃない。そんなもの、貴方は私の後ろに立っていればいいの。」
目の前には、寺の食事とは見えないような食事が並んでいる。
「そりゃないぜ!」
と、言ってみたが聞く気がないらしい・・・。返事すらしやがらねぇ!
食事が終わり授業に行くと言って歩きだしたセレルは、俺に「外にでもいなさい」と伝えて消えてしまった。
相変わらず横暴だなぁと、思いつつ仕方がないので外に行こうと思った瞬間、気が付いた。
「俺、道しらねぇし・・・」
寺なのか女学院なのかを探検することにした。
探検すること早数時間、どこからか鐘の音がする。中々いい響きだったので聴き入っていたとき、ドン!とぶつかって尻餅ついた。
「すまない。ボーっとしていたので気が付かなかった」
そう言って手を差し延べた。
「ゴッゴメンナサイ!急いでいたものですから・・・」
相手は、こちらも見ずに去ってしまった。
う〜ん。この手はどこに向かえばいいのだろう?
「しかし、ちっこい子だったなぁ、声もかわいらしかったし。」
ッ!いかんいかん。そのての趣味はないはずなのに。
その後、しばらくぶらついていたが、興味の引くものは、たいしてなく時間だけが過ぎていった。
昼食の時間となり、セレルと合流することが出来た。
「なぁ、ちょっとでいいから何か食べさせてくれよ」
・・・無視ですか?こっちを見ようともしないザマスよ?この人。
「うるさいわね。お腹減らないんだから、いいじゃない、別に」
そういわれてみて、初めて気が付いた、確かに昨晩から何も食べていないのに空腹を感じない。
「なんで?」
「付き神は、力使わないと空腹を感じないのよ。つまり、なにもできない貴方じゃ今後も食事にありつけることは、ないわね。」
・・・何故、彼女は俺がなにもできないと決め付けているのだろうか?
「大抵の付き神は猫とか犬とか動物なのに、貴方は武器すらないでしょうが。」
「武器がないと戦えないのか?」
「そうよ。付き神の爪や牙には霊的な干渉を行うことができるように、最初の契約のときに術者たる私達が力を分けるのよ。」
「武器ならあるじゃないか。」
「どこによ?」
「この鎖」
ジャラジャラと見せる。
「ふんっ、気休めにもならないわ。」
鼻で笑いやがった。ちょっとムカつくな。
「食事のあとに部屋に戻るから着いてきなさい。」
「へいへい」
と、気のない返事だけを返した。
ちなみに朝のメニューは、焼い魚にスクランブルエッグ、ウィンナーソーセージに小鉢にはいった素うどん、ご飯にふりかけと納豆で、昼は、チキンステーキにもやしのナムル、トーストにジャムがのった物、海藻サラダだった。