黄泉帰り

□一話
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「貴方の名前は?」
と聞かれ、出した答えが



「わからない」


そう答えた。すると彼女が少し難しい顔しながらぶつぶつ言っている。
「記憶がないのは、死んだ自覚がないから?事故か自殺のどっちかかも?まぁ、どちらにせよハズレよね」
何を言っているのかは、よくわからなかったが、とりあえず俺はハズレらしい。
「それなら、貴方は今からコロラドよ」
彼女はそう言った。唐突だったが名前がないのは確かに困りそうだし、特に断る理由も必要もないので
「了解」
とこたえておいた。
「俺の名前はともかく、あんたは何なんだ?」
と、聞くと
「私はセレルよ。このお寺の修行僧の一人、そしてコロラドをあんたを黄泉の国から引き戻したのよ。」


「ちょっと待った!何?黄泉って?」
「何って、死んだ後に行くことになる国らしいわ」
らしいってなんだよ!
「だって、行ったことないんだもん」
心まで読まれてるよ!



まぁ、とりあえず落ち着こう。順番に整理していけば結論がでるはずだから・・・



と、言うことで


まずは、俺は死んでいる。何故?事故?誰かに殺された?それとも自ら?それで、死んでから黄泉の国とやらをうろついていたわけで・・・
その後に、こちらのセレルに呼び出されたわけだ。




「ありえないな・・・」



絶望とか希望とかそんなじゃないな、この気持ちは何て言うか、そうだな・・・面倒くさいだな。
ふと、思ったことを口に出してみる。
「何をさせるために呼ぶんだ?」


その言葉を待ってました!と言わんばかりの笑顔をこちらに向けて言った。
「私の仕事のアシストよ!
主な仕事が、悪霊のお祓いと、曰く付きの道具を集めることなのよ」
巫女だからか?
「寺だからよ。巫女は関係ないわ」


だ〜か〜ら〜何で読まれてるのさ?


「契約のおかげで付き神がなにを考えているかわかるのよ」
「先に言ってくれよ!」
「それはともかく、退治とお祓いは何か違うのか?」
「一緒よ」

「曰く付きの物ってどうやって見つけるんだ?」
「この寺のえらい人達が指示をくれるわ」
「ふ〜ん・・・」
結局、何をするのかさっぱりわからねぇし
「そろそろ寝るから出って」セレルがそう言った。
「出てけって、どこに行けばいいんだ?」
「知らないわ、とりあえず出てってよ」



マジかよ!




・・・その日は扉の前で夜が過ぎるのを待ちました。
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