黄泉帰り

□一話
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暗い部屋から出る直前に後ろから大きな声で
「本日の反魂の儀を終了する。」
と、聞こえた。
反魂?何のことだろう?


気が付いてからと言うものわからないことだらけでだんだん頭が痛くなってきた気がする・・・




「はやく来なさいよ!」
何故、彼女は怒っているのだろう?



あぁ、頭痛い・・・


急いで追いかけると彼女はすぐそこで止まっていた。
待っててくれていたのかな?そう思うと少し嬉しくなった。
が、彼女の一言でその思いが吹き飛んだ。
「いつまで待たせるつもり?早く扉を開けなさいよ!」



・・・前言撤回、毅然じゃない傲慢だ。
何故、俺は名前も知らない女に命令されているのだろうか?
そもそも命令を聞く気がなかったので、無視をすることに決めた。
「・・・あら、そう。貴方がその気なら私にも考えがあるわ」
そう言ったかと思うと何やら札のような紙を取り出しボソボソと紙になにかを言っていた。


「っ!!」


痛い!どこが痛いと聞かれるとわからないがとにかく痛い。
涙目になりながら彼女を見上げると、勝ち誇った顔でこちらを見下ろしていた。
「これでわかったでしょ?
私に逆らうといいことないわよ?さぁ、早く扉を開けてちょうだい」


・・・しぶしぶ開けましたよ。痛いのもう嫌ですもん。
部屋に入ると今までの部屋や通路に比べると別の世界のように思えた。そこには、シャンデリアありピアノありキラキラと光る化粧台にフワフワの大きなベッドがあった。中でも一番目を奪ったのが机の上にあった一冊の小汚い本だった。
これだけ豪華な部屋に不似合いじゃないか?
と、机に目を配っているとそれを察したのか
「大切な本なんだから気安く触らないでちょうだい」


大切な本?この埃かぶった本が?どうでもいいんだけど・・・


「さてと、いろいろ話を聞かせてもらわないとね」
彼女はベッドに腰掛けながらそう切り出した。
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