道化師さんと一緒
□始まりは突然に
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「あ〜トリップしたい」
学校の机に頬杖をつきながらサラは言う。
「何回言ったと思ってるの?アンタは」
ツッコミを入れるのは私の親友、カナだ。
「だぁ〜ってトリップしたいんだもん。トリップしたらケフカさんとるるるのる〜♪」
頬をぷくっと膨らませる姿はどこにでもいる高校生だ。
「なーにがるるのる〜♪だよ?アンタには付いていけんわ……朝からケフカケフカケフカ……今は放課後だよ?」
ため息をつくカナは勧めるんじゃなかったと、と言った。
彼女が教えたのは、PSPのゲームソフト、《DISSIDIA FAINAL FANTASY》
だ。
……まさかこうなるとは誰が予想できたであろうか?サラはそのゲームのボスの一人、ケフカ・パラッツオにハマってしまったのだ。
「だってさ、絶対化粧落としたら美形だよね?」
「35のオッサンだよ?サラ、現実を見ようや。大量殺戮者だよ?怖くないの?」
既に教室には誰もいなくなっていた。
「すべて魔導実験のせいだよ。実験さえしなければ……優しい人だと思う。」
「ダメだ……こいつなんとかしないと………」
もう何を言っても手遅れだった。