短編

□獅子の日
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「平助ー」


同じ部活の後輩の後姿を見つけてつい声をかけた。

「あ、先輩。」

振り向くその顔はイケメンだがまだ幼い。

成長すればかなり格好よくなるだろう。俺の勘がそう言ってる。

ってか普通に見ればわかるだろ。嫌味な後輩だ。

「さーて。今日は何の日でしょうか」

そんな嫌味な後輩いじりは地味に楽しい。

正直俺自身でも今日何の日かわからんもん。


「え、え?何かあんの?」

焦ったように辺りを見渡す後輩は見ていてほほえましい。

千鶴ちゃんとのやり取りもかなり微笑ましいけれど。

「ヒント、今日は4月4日でーす」


「よんよんの日!」

「ブッブー。もうちょい考えましょうね」

軽く受け流して次の回答を待つ。
しかし、巻きでお願いしたいものだ。自分から話しかけたのが間違いだった。

今すっごいトイレに行きたかったんだよ。

「あーうっぜぇ!じゃあ・・・しっしーの日!」

「なんでちっさいツが入るのでしょうかー。でも小当たりデース」

「小当たりってなんだよ!」


この生意気な後輩め。
頬を軽く抓りながら笑って見せた。

「正解教えてほしい?そっかそっか。正解は獅子の日でした」

明らかに嫌な顔をする後輩。
なんだその顔は。まあかわいいから許してあげるけど。

「せんぱーい、かなりウザーい。そうキミ思ってるでしょ?」

「え・・・なんで!?」

エヘヘーと照れたように笑ってみせた。
後輩もため息をつきながらも笑っている。

「俺は天才だからでーす」

「まじうぜぇ!」

「まあ冗談はおいとくと、ただ単に平助の思考は読み取りやすいからですー」
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