誰よりも好きです、好きです

□誰よりも好きです、好きです
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「……竹谷先輩ッ、聞いてください」



…ついに、ついに!
竹谷先輩に打ち明ける日が来た。



「浜、なんだよ…、こんな、ところで」



今、一番俺を悩ませていることについて、先輩に打ち明ける日が。



「あの…、ですね、言いにくいんですけど…」

「だから、なんなんだよ…」

「その、あの…っ、いや…スミマセン…。」

「…黙ってても分からないから、言えって。」



放課後の部活終わりに、後輩である俺に半ば強引に校舎裏に連れてこられた竹谷先輩。
夕日も暮れかかっていて、このままぐずぐずしていたら暗闇に包まれてしまいそうな空。
それなのになかなか本題を切り出せないでいる俺にしびれを切らして、早く言えよと迫る竹谷先輩だったが
お前まさか何か企んでるんじゃないだろうな!と疑ってキョロキョロあたりを見回していた。



「いや、違うんですッ…!」

「はあ?…だったら、なんだって言うんだよ…もう。」

「先輩ッ!俺、おれ、…実は、その」

「じつは…?」



自分で言ってはなんだが、明るさと元気が取り柄の俺。
困難なことがあってもこんなに躊躇ったり、悩んだりなんかしない性格なのは分かってる。
いつもとは明らかに様子がおかしい俺の姿を見て
大丈夫か…?と心配そうに俺の顔を覗き込む竹谷先輩。



「実は、先輩のことが好きになってしまったんですッ!!!」



あ、言っちゃった…
俺、ついに、言っちゃったんだ…
予想通り訪れた沈黙に、ぎゅっと目をつぶる。
ああ、名前先輩に彼氏がいたら…どうしよう。
今更だけど、竹谷先輩も名前先輩のことが気になっていたらどうしよう…。
そうしたら、先輩だとはいえ、身を引かないで戦おう…。
一瞬にして悪いイメージが湧いてきてしまって、ブンブンと頭を振る。

大丈夫、大丈夫だ、きっと、大丈夫。
落ち着け、落ち着くんだ、俺…!

心を落ち着かせて、深呼吸。
そして、何故か反応のない竹谷先輩のほうをチラッと見ると
竹谷先輩は驚いたように目を見開いて、そんな俺のことを見ていた。



「…ちょ、ちょっと待て、浜!」



真剣で深刻そうな、申し訳なさそうな顔をしている竹谷先輩。
…あれ?
そういえば俺…



「気持ちは非常に嬉しいのだが…、その、すまん…俺は…、っ」



名前先輩のことが、って言ったっけ?



「俺は、女の子が好きなんだ…!」

「わッ!すみません!竹谷先輩のことじゃないです!!」





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ついに竹谷センパイに相談する浜くん

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