誰よりも好きです、好きです

□誰よりも好きです、好きです
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「失礼します!あの、…竹谷センパーイ!」



午後の授業終わりに、同じ陸上部の先輩である竹谷先輩の教室にかけこんだ。
先輩の教室に入るのってすっごく嫌だけど…
でも竹谷先輩ってば、絶対今度の合宿の係のこと忘れてそうだし。
昨日の夜にせっかく連絡したのに、そのまま寝てしまったのか、既読無視されたし…。



「…おい、ハチ。何か呼ばれてんぞ」

「え?俺?」

「うん。ほら、後輩のさ、…浜くんじゃない?」



竹谷先輩と話していたのは、いつも一緒に居る鉢屋先輩と不破先輩…だったっけ。
鉢屋センパイの切れ長の目と目が合って、ウッ…と萎縮しそうになる。
後輩の俺なんかは、あっちには到底行けないな…。
よし、竹谷先輩にこっちに来てくれるようにアピールしよう。



「先輩ー!こっちこっちーー!」



こっちに気付いた竹谷先輩に向かって手を振ると
浜、どうしたー!と声を上げる先輩。
…いや、だから…、こっちに来て下さいよ。



「あの!今度の!合宿のことなんですけど!」

「ああ!へいへい、今行くー」



観念したようにこっちにやってくる竹谷先輩。
他の先輩たちをかきわけてくる途中、一人の先輩にぶつかりそうになった。



「あっ、」

「おっ、と!!」



思わず竹谷先輩が手を支えて、よろけずに済んだ、その人。




「わりー!ごめんな、許してな」



その人は小柄な人でした。
俺の中の世界が、何故か一瞬だけ止まったような気がしました。
周りの音もゆっくり静かになっていくような、そんな気がして。
でも…、そんな中でも、その人の声だけは、はっきりと聞こえました。



「ハチくん、ごめんね、だいじょうぶだよ」



浜守一郎、生まれて初めての一目惚れでした。





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浜くん連載はじまりました
どう完結するかまだ未定なので、ゆっくり考えていきます


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