誰よりも好きです、好きです

□誰よりも好きです、好きです
1ページ/1ページ




独自であの人のことを調査した、結果…。

…否。

陸上部のランニング中に、たまたま学校の入り口にある自販機の前を通りかかった時に



「名前ー、何買ったの?」

「え?いちご牛乳だよ」

「ふーん…、またか。」



聞き覚えのある声がした方を、横目で見ると
その自販機の前には、昨日竹谷先輩の教室で見たあの人がいた。



名前…



あの人、名前先輩っていうんだ…!



真剣に取り組んでいた部活の、ランニング中に起こった予期せぬ出来事に

思わず出そうになる声を必死に押し殺して

バクバクと脈打つ胸の高鳴りを周りの皆にばれないように抑えて

熱くなる顔が誰にも見えないように、汗を拭くふりをしてさりげなく下を向いて

ニヤけそうになる口元を、手でぐっと押さえた




…名前先輩、…名前、先輩!




陸上部の先輩たちのペースに合わせて、名前先輩の前を足早に通り過ぎて行く。



「あ…」



もう、そろそろ良いかな、なんて思って
最後にもう一度だけでも名前先輩の姿が見たくなって、ゆっくり振り返る。
けれど、もう自販機の前には、誰もいなくて思わず立ち止まった。



…会っても、話かけられないなんて。



俺のことを、見てももらえないなんて。



これが、恋だ、きっと恋なんだ



なんて切ない恋なんだ。





「おーい、守一郎」

「…あ、はーい!」

「早くしないと置いていくぞー」




同じクラスの先輩が

名前先輩と毎日のように顔をあわせることができる竹谷先輩が

何故だか今日は、凄くしあわせそうに見えた

先輩と同じ教室で、一緒の授業をうけて

何気ないくだらないことで、一緒に笑うことができる竹谷先輩が

誰よりも、うらやましいと思った




----------------------------
高校生時代まったくもって青春をしたことがないので
かなり苦戦しながら書かせていただいてます


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ