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□宣戦布告
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宣戦布告



臆病者は後悔すればいい
そんなもん自分が悪いんやから



ある日の部活後
俺は今日練習し過ぎて皆より遅れて終わっらせた
部室には俺一人では無く今日の日誌当番の師範もいて日誌を書いている
時折考え込むようだが多分皆の事を思い出しているからだろう

ホンマ阿呆みたいに真面目

「光、着替え終わったんか?」
「あ、まだっすわ。」
「さよか、暗うなってきたで早うせぇな。」

そして底抜けに優しい

でもあんたは俺の敵
「師範って副部長んこと好きでしょう?
見ててわかるっし。」
「……」
「黙秘っすか?」
「早う帰りぃ。」

明らかな肯定

「言ってあげないんすか?
副部長って言わんと分からん、どつ鈍いタイプっすよ。」
「それでええんや…」

日誌を書く手を止めて、こっちに向き直す

「ふーん。いいんすか?
先に他の人が好き言うてもて、師範には振り向いてくれんってなっても。」
「せやたらそれでええ。
なんや、光は?
けしかけに来たんか?」
「まさかぁ。
俺は恋敵潰しっすよ。
師範気付いてないみたいやけど、千歳先輩も部長、謙也君も狙っとるんですよ。
初耳でしょ。」

驚いた顔する師範
と思ったんに
この人は……

「ん、知っとるわ。
儂はどうやら鈍い扱いのようやが、残念ながらそれなりな。」
うっすら笑いつつ言う師範

「なんや、知っとるんにせんって。
自信があるからっすか?
自分以上に好かれてる奴はおらんとでも?」
「まさか、そないに自惚れてはおらんよ。
ただ、あいつは千歳はん等には言わん。」

背筋が寒くなるような笑み

「でも言わんのはなんで?」

くっくっと喉で軽く笑って

「残念ながら儂は臆病者やでなぁ。」

「師範、狡いっすよ。
副部長生殺しやないですか。」
「好きやないなら生殺しにはならんよ。
あいつがな。」
「でも

やる気が無いなら…
俺がしてもええんですよね?」

「それは
宣戦布告つぅ事でええんやろか?」
「ま、そういう事でええっすよ。」

俺の宣戦布告にも動じない師範
驚き通り越して怖い

「師範、俺負けませんよ。」

「そこは、俺も負ける気は無いな。
その宣戦布告受け取っとく。
お互いにな…」

初めて聞く師範の東京弁
恐ろしい強敵を作ったと思った

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