ナイモノネダリ
□恢復
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メールは貂と、それから、情報屋の思暮からだった。
貂は恐らくアタシの意識が戻ったかどうかの確認だろう。
着信の日付も昨日になっているし。
あとは珍しい男からのメール。
アタシは自分自身で情報屋を殆んど利用しない。
必要なものはレーコを含め、サポート役が用意するからだ。
つまり、殆んどレーコに任せている。
「『ちなみに今日は学校です』?……意味わからん」
間違えだろうか?
アタシは返信ボタンを押さずに次は着信履歴に目を通す。
二件中二件とも登録してない番号からだった。
しかもそれぞれ違う番号。
知らない番号からの着信というのはよくあることで、大体が殺人予告などのイタズラだったり、冷やかしだったりするのでこれもその類いだろうと、特に気にはしなかった。
携帯を置いて、また、横になる。
するとタイミングよく、貂とレーコがノックもせずに病室に入ってきた。
「あ、ホントに起きてたの」
レーコは驚いたようにアタシを見て、すぐに座った。
「グッドタイミングぅ!」
貂は爪楊枝を口に咥えて、いつもの如くハイテンションだ。
「今日来てよかったやぁ!昨日メールしたんだけど、まだ寝てたみたいだからさぁ」
なんだか、そのテンションにアタシはついていけない。
間違えなく。
「ああ、そ。で、なんでアンタがアタシのいる病院に?まさか見舞いじゃないでしょ」
この男は用事がなきゃ、わざわざアタシに会いに病院まで来たりしない。
見舞いなんて、間違ってもする男じゃないのだ。
「まあまあ、話はゆっくりできるでしょ?赤、ご飯買ってきたけど食べる?」
割って入ってきたレーコが、どこからか袋を取り出す。
中身はコンビニかなにかのお弁当のようだ。