短編

□暗殺者
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あれからすぐに
任務決行の日はきた。


ベル隊長は作戦も一緒に
考えてくれた。




『はあ・・、』
「あんま力みすぎると、やばいんじゃね?」
『え?』
「緊張しすぎると逆に隙だらけになる。」
『・・・。』
「俺ここにいるから、行って来い。」
『わかりました。』



木の間から敵の様子を伺う。

一瞬でやってしまおう。
最初から急所狙って
死体処理をさっさと済ませて帰ろう。







「因みに、もし逃げたりなんかしたら、俺即お前の心臓にナイフぶっ刺すから。」







・・・・・なんて恐ろしい。



これは任務失敗できないな、なんて
思いながらもベル隊長のいつも通りの口調に
少しだけ心が和らいだ。







木から飛び降りてすぐに銃を構える。



「何者だ?!」
『ヴァリアー・・・』


撃て。


早く、心臓を一発。








トリガーを引く瞬間、
目を瞑った。








―バンッ


「あぁっ・・・ぐ・・!!」






できなかった。

目を開けると、足に一発銃弾を打ち込まれた
ターゲットの男。




人を殺すのが、こわい。

どうして私はここにいて

人を殺そうとしているんだろう。





足がやられただけの標的は
その場に倒れこみ、すぐに銃を取り出した。




この任務が成功して

ずっとこういう思いをしながら

これからも人を殺し続けるのかな。



ならば、いっそのこと

このまま殺されてしまったほうが

楽になれるのかもしれない。





相手が銃を構えるのを見て

もう一度、目を瞑った。



―ヒュッ

「ぐあっ!!!」


頬のすぐ横、風を切る音がして

目を開けると片目がつぶれた標的。



『隊長・・・』


彼のオリジナルナイフが目に突き刺さる姿は
何ともグロテスクで正直、
目もあてられない。



「お前自殺願望あんの?」
『・・・』


うしし、と笑う隊長は
やはり不気味だった。



「ジャッポーネのマフィアって臆病な奴が多いよね。嫌な現実と衝突すれば、逃げることしか能がないし、ダサイよ。俺はジャッポーネでマフィアらしいマフィアは見たことがないね。強がってても、いざ殺されるとなるとみっともなく命乞いなんかしちゃって。」



もう一度ナイフを投げて
今度は標的の銃を構える右手を刺した。



「・・・止めは名無しさんがさせよ。」
『わかりました。』


苦しみもがく標的の前に立つと

今度は左手で銃を構えた。


私も銃を構える。

銃が私に向けられている以上、

躊躇している暇はない。





小さく息を吸って

再びトリガーを引いた。




ベル隊長の言うとおり。

ジャッポネーゼがどうとか
そういうつもりはないけれど、
少なくとも私は死にたくなくて
それこそ立場が優勢であるから命乞いは
しないけれど、死にたくないから、
生き延びようとして、まるで
命乞いをするかのようにトリガーを引く。

そこで初めて
死んでしまおうかと考えていたのは
とても浅はかで冗談に過ぎないことに気づく




死にきれない私が、憎い。



本日三度目、目を開けると

確かに命が絶えた、

胸に銃弾の撃ち込まれた姿があった。


(後ろから聞こえた笑い声が)
(私を殺していくような気がした)


-NEXT-

続編予定あります。

「お前」ばっかりで名前変換機能が
意味を成していなかったので
無理やり一箇所にぶち込みましたが
名前変換少なくてすみません・・・

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