電脳獣

□HEARTBLADE20
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女神が降り立った。

「そういう所は、アヤメにそっくりなのね」

静かな。
綺麗な声だった。
その後に鈍い接触音。

「ぇ…?」
「顔はヨハンにそっくりなのになぁ?」
「本当ね」

ロトスモンとインペリアルドラモン。
なんで俺を助けてくれたのか、とか。
確かに気になったけど。
でもそんな事よりも。
なんでっ……!

「なんでお前等が、父さんと母さんの名前を知ってんだよ!?」

ダークナイトモンのアックスを受け止めたインペリアルドラモンが、不思議そうに俺を見る。

「なんでって…」

何を言ってるのかがわからない、そんな顔。

「決まってるでしょ?」

ロトスモンだけは、揺るがなかった。
静かに、言葉を紡ぐ。

「彼等が、私達が敬愛してやまないーー







私達のジェネラルだったからよ」

雷に打たれた気分、ってのは多分…こういう事を言うんだろう。

「ぇ…?」

声は、でなかった。

「キズナの…両親?」

俺の声、じゃない。
この声はーー。

「たい、き…」

オメガモンに乗ったタイキが、そこにいた。
あぁ、なんで。
なんでこのタイミング。

「だってキズナの両親はーー」

やめろ。
そう言いたいのに。
声が出ない。
言っているタイキ自身も、呆然としてる。
やめろ。
聞きたくない。

「おばさんとおじさんはーーあの雨の日に……」



ザーッザーッ。
ノイズが走る。
頭が痛い。
聞きたくない。
思い出したくない。
……嫌だっっ!!

「ガイアトルネードォォォォォッ!!」

叫ぶ。
それは悲鳴に近かった。
けれど、

「………………」

無言で。
エンシェントグレイモンは反応してくれた。
吹き荒む風。
全部、全部、壊れてしまえ。
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