電脳獣

□HEARTBLADE21
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刃渡り20cm。
うっかり日本の“じゅうとうほーいはん”に引っ掛かりそうな、ナイフ。
それは俺に取って見覚えがあるーーありすぎるモノで。

「ゴホッ…やっぱ…アイツの…ないふか…」

目が覚めたらデッカードラモンの腕の中で、あの黄色の光に包まれてた。
俺最近こんなんばっか。
あぁ、くそっ。
口ん中が鉄の味だし。

「やっと起きたか」

視線だけを動かして声の主へと向ける。
この声は…。

「…きりは…?」
「なんで怪我してるかくらいはわかるか?」

怪我?
って、あぁ、そうか。

「……俺、シスの野郎に刺されたんだっけか」
「シス?」
「シンフォニック・スウィフト。ナイフ大好きな戦闘狂」

んでもって、俺の悪友。
あぁいや、敵かな?
現に刺されてるし。

「厄介な奴だな」
「俺もそう思う」

息を吐き出す。
だんだんと、呼吸が楽になってきたな。

「……デッカードラモン。お前のチームに入ることにしたんだな」
「あぁ」
「コードクラウンも?」
「そうだ」
「なら安心だな」

そう言えば、キリハは珍しく目を見開く。
なんだよ?
って、あぁそうだ。

「ありがとな」
「……何がだ?」
「怪我の手当てしてくれたろ?本当に助かった」

流石の俺も今回ばっかりは死ぬかと思ったぜ。

「テッカードラモンも、ありがとな」
「礼には及ばぬ」
「そっか」

そいつは良かった。
……そうだな。

「キリハ、なんか俺にして欲しい事ってある?」
「いきなりどういう風の吹き回しだ?」
「借りは早めに返しとくに限るだろ」

利子がつくまえに。
……っても。
俺に出来る事なんて限られてるけどさ。

「それに、何か俺に用があるから連れて来たんだろ?」

そもそもキリハは、友人だからとかそういう理由で人助けはしなそうだしな。
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