電脳獣

□HEARTBLADE13
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「じゃあさ、ネネ。もう一つ聞いていいか?」
「なにかしら?」
「貴女は俺に何をさせたいんだ?」
「………」

ネネはそこで黙る。
ただ純粋な驚愕からくる沈黙っぽいそれに、笑う。
主導権を握られっぱなしの会話ってのは…あんま好きじゃないんだよ。

「どうして?」
「ん?」
「いつ、気づいたの?」

いや、別に確証はないけど。
なんとなく、そんな気がしたんだよ。

「あぁでも…強いていうなら似てたからかな」
「似ていた…?」
「そう」

昔の俺に。
赦される事を恐れ、タイキの前から逃げた俺に。
あの時の…俺の目にネネの目は似てる。

「誰に…?」
「そこはほら、秘密」

秘密。
というより、言いたくないかな。

「誰にだって、知られたくない過去の一つや二つくらいあるだろ」

あぁでも、タイキは。
アイツは…どうなんだろう。
あるかもしれないしないかもしれない。

「知られたくない…過去のこと」
「そう。ネネにだって、一つくらいあるんじゃないか?」

ない、とは言わせない。
なければ、昔の俺になんか似るハズない。
あんなーー。
あんな、全てを諦めたようなモノに。
似てたまるか。

「…わかったわ。本題に入りましょう」
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