電脳獣

□HEARTBLADE16
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「……こんな事なら、面倒がらずに縫っとけば良かったな」

なんて。
今更言ったって遅いか。
はぁ。

「リロード」

俺の声に応えるように、ヨウコモンがクロスローダーから出てくる。
あんな、死にぞこない。
彼女だけで十分だ。

「ヨウコモン、“じゃ
「おおっと!この女がどうなってもいいのか?」
「きゃあ!?」
「ネネ!?」

ネネの首に腕を回し持ち上げるルーチェモン。
そして、叫ぶネネのパートナー(多分)。
……っと、言うか。

「お前はどっかの雑魚キャラか」
「キズナ!」
「わかってるよ、タイキ。そこまで外道じゃないってば」

さて、どうするかな。

「これさえ、これさえあれば…!」

戯言のように。
譫言のように。
ルーチェモンがブツブツ言いながら手を伸ばす。
どこに。
あの黒い球に。

「やめなさい!ソレは貴方には制御できないわ!」
「黙れ!…交渉は決裂だ。これは僕が貰う」





「…馬鹿なことを…」





そう呟いたのは、一体誰だったのか。

「な、なんだ!?」

球が。
闇が。
スライムが。
ネネを巻き込んでルーチェモンを包む。
まぁ、そりゃそうだ。
アイツ風情に、同行できる代物じゃない。

「「ネネ!」」

タイキとネネのパートナーの声が重なる。
けれど…

「タイキ、離れろ!」
「だけど…」
 ・・・・・
「わかるだろ」

・・・・
もう遅い。
トドメをさせなかった時点で。
あの黒い球に触れさせてしまった時点で。
もう…手遅れだ。

「ーーーーーー」

飲み込まれる、寸前。
黒い闇が彼女を包み込む、寸前。

「……えっ……?」

彼女がーーネネが、言葉にならない悲鳴をあげた時。
ネネの手が、
タイキでも、
パートナーでもなく、
この俺に、
伸ばされたような気がしたのはーーきっと気のせいなんかじゃない。
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