電脳獣

□HEARTBLADE17
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「大丈夫ですわ」

鈴の音のような、凜とした声が響く。
あぁ、なんか。
久しぶりに聞いたような気がするな。

「エンシェントマーメイモンか」
「エンシェントグレイモンはともかく、オメガモンは仲間を見捨てたりはしませんわ。私が保障します」
「エンシェントグレイモンさーん」

お前、信用ねぇな。

「けれど…」
「ん?」

エンシェントマーメイモンが俯いて言葉を濁らせる。
けれど?

「いるのでしょう、ロトスモン。出て来たらどうですの?」

咎めるような。
拗ねたような。
そんな声で、エンシェントマーメイモンは言った。
ロトスモン?

「私、まどろっこしいのは嫌いですの」
「えぇ、知ってる。貴女は昔からそうだもんね」
「からかうのはおよしなさい」
「からかってないよ。私はただ事実を言っただけ」

エンシェントマーメイモンがお嬢様だと言うんだったら、ロトスモンはお姉さんって感じだろうか。
両手に変な杖を持った蓮のような格好をした女性が、コッチに近寄ってくる。

 ・・・・・・
「大きくなった、ねキズナ。あ、でも。身長はあまり伸びなかったのかな?」
「悪かったなちっこくて!」

思わずカッとなって言い返す。
このやりとりは、何年ぶりだろうか。
本当に懐かしい。
……懐かしい?

「あれ?」

俺はロトスモンにあうのは初めてで。
なのに…懐かしい?

「キズナ?」
「マスター?」

クダモンとエンシェントマーメイモンが不思議そうに俺の名前を呼ぶ。
クダモンと会った時も、エンシェントマーメイモンと会った時も、こんな事は無かった。
なのに…

「牙持てし雛よ。貴方が望むのならば、私達が貴方に夢(しんじつ)を見せてあげる」
「あ…」

ヘブンゾーンで聞いた声と同じ台詞。
そして…

「ーーーーーー!!」

轟く咆哮。
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