電脳獣

□HEARTBLADE17
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ぞくり。
首の後ろを冷たいものが伝う。
それは間違いなく恐怖。
俺が、デジタルワールドに来て初めて感じた生命の危機。

「っ…!」

自分の特異性も忘れて、後ろへ飛ぶ。
避けなきゃヤバイ。

「なっ…!」
「えっ…?」
「うーわー…」

ずどんっ!
エンシェントグレイモンも大概だけど、コイツも天災クラスなんじゃないだろうか。
なんて。
地震みたいな震動に軽く現実逃避しながら、ソイツを睨む。

「黒い…龍」
「避けるな、小僧」
「避けなきゃ死ぬわ」

無茶言うな。
本当にこういう時、自分の反射神経に心の底から感謝する。
今、真面目に死を覚悟するとこだった。

「インペリアルドラモン……!?」

エンシェントマーメイモンが叫ぶようにその名を呼ぶ。
それは恐怖してるようで。
エンシェントマーメイモン…?

「キズナ」
「…なんだ?」
「私達とゲームをしましょうか」

インペリアルドラモンに気を取られてたら、いつのまにか近づいて来ていたロトスモンが白黒の蛇のついた方の変な杖を俺の左目に伸ばしていた。
左目。
眼帯が付いている方の目へと。

「っ…!」
「動かないで」
「……らじゃー」

いま一瞬、頭ん中にホーリードラモンが出てきた。
いや、うん。
あれだな。
女性は強いっていう。

「うん、これで良いね」
「…ナニガデショウカ」
「治ったでしょ?」
「えっ!?」

慌てて左目を触る。
…本当だ。
傷痕特有のザラザラ感はあるけど、もう傷は塞がってる。

「これのせいでアッサリやられちゃってもつまらないしね」
「やられる事前提かよ」
「前提です」

クスクスと、ロトスモンは楽しげに笑う。
なんか…見た事ある笑い方だな。

「ルールは簡単。この場所にある“モノ”を全て使って…」

インペリアルドラモンを地面に引きずり落として下さい。
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