電脳獣
□HEARTBLADE18
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「いっ
……たくない?」
痛くない。
全然、痛くない。
代わりに、鈍い音が辺りに響いた。
それは、インペリアルドラモンが地に落とされた音でーー
「ばっかじゃないの?」
落とした本人(本デジ?)は、とんでもなく冷たい声音でそう吐き捨てた。
そりゃあ、もう。
聞いてるだけで背筋が凍るくらいの。
「ろ…ロトス…」
「あーあ」
負けちゃったじゃない。
心の底から残念そうに、ロトスモンは言った。
「負け?」
「“この場にある全ての物を使ってインペリアルドラモンを地面に引きずり落としなさい”。それが今回のルール」
……あぁ。
そんなのもあったな。
「ま。私が言ったルールだしね。負けは負けだよ。……無理だと思ったのにな」
「喧嘩売ってんのか」
それもかなり良い値で。
「あ、ばれた?」
「…………」
はったおして良いだろうか、コイツ。
あぁ、もう。
この人はーー
「……聞きたい事が沢山あるんだ」
「うん、だろうね」
「アンタは、どこまで知ってるんだ?」
・・
「何も」
何も。
それはなにもかも全て知ってる。
そういう意味か?
「というか、私よりもキズナの方が知ってると思うけど」
「俺?」
俺が何を知ってるって言うんだ。
今も“昔”も、俺は何を知ることが出来たって言うんだ?
俺はーー。
“オレ”はーー。
「ねぇ、キズナ。覚えてる?貴方が望んだのよ。嫌だって。助けてって。貴方が言った。だから、私は貴方に夢を見させて来た。幸せな夢を」
幸せな…夢?
・・・・・・
あんなモノが?
「まぁ。そのせいで…」
良い感じに歪んでしまったのだけれど。
なんでもなさそうに。
ロトスモンは言った。
「私が貴方にあげられるのは“選択肢”。選ぶのは貴方」