AZ
□どこまでも青く澄んだ世界
1ページ/18ページ
真っ黒な子犬。
お腹はぺっちゃんこ、足も棒。
けれどまん丸の瞳はきらきらと輝いています。
空気まで凍っていそうなクリスマスの夜。
子犬は空飛ぶソリに乗った白いおひげのおじいさんに会いました。
「坊や、プレゼントをあげよう。お腹が空いているんだね。暖かいお部屋に美味しいごはんはどうだい」
子犬は首を振ります。
「俺、お部屋もごはんもいいから。おじいちゃん、友達になって」
子犬はぱたんぱたんとしっぽを動かします。
「坊やとはもう、友達だよ。でもずっといっしょにはいられない。だから」
おじいさんは子犬の小さな頭を優しくなでます。
「自分で探しておいで。大丈夫、きっと見つかるからね」
おじいさんが撫でてくれた場所から、身体はやんわり暖かくなり
気づくと足の痛みもなくなっていました。
「明日、会えるかな」
子犬はわくわくしながら、眠りにつきました。