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□猫の細道02
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 今日も今日とて、わたしは猫広場に来ている。ぼんやりと広場を眺めながら、何をするでもなくベンチに座っている。

 いつもと何も変わらない、と思いきや、今日は猫田さんの姿が見当たらなかった。いつもここにいるはずの彼がいないというのは奇妙なことだ。

 いそうでいて、いなさそうでやっぱりいる、それが猫田さんなのに。

 女の人がやって来て、魚肉ソーセージを取り出した。猫たちにやるつもりなのだろう。
 どこからそんなに出てきたのか、というくらいの数の猫が広場に集まり始めてきた。

 わたしはふと思い立って、猫の岩階段に行ってみることにした。
 猫の岩階段とは、名前の通り岩の階段で、所々に猫をあしらった石の飾りが置いてある。そこももちろん猫多発スポットである。

 わたしはベンチから立ち上がると、岩階段に向かった。
 そんなわたしに構うこともなく、猫も女の人も魚肉ソーセージに夢中だった。




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