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□白兎運輸サービス(1)
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「長谷川ちゃん電話取っといたよ」
「ありがとうございまーす」

昼休憩から帰ってきた、受付であり紅一点である長谷川ちゃんにそう声をかけてから俺は再び新聞に目を落とした。
一応社会人として、新聞は読んどかなきゃまずいだろー、と思って読み始めた紙の束は、予想以上に面白い。

「電話、何か特別なこと言ってました?」
「いや、荷物頼みたいってそんだけ。これから持ってくるって」

長谷川ちゃんの問い掛けに新聞から目を上げずに答える。
その直後、他の奴らも何人か昼休憩から戻ってきた。

「あー、松崎さんと長谷川ちゃんが二人切りだ」
「長谷川ちゃんまっさんに何もされなかった?」
「俺が長谷川ちゃんに何をするって言うんだよ」

賑やかに憎まれ口を叩く二人にそう言って、なあ長谷川ちゃん、と同意を求めた先では、

「こんにちは、片倉くん」
「こんちはー」

昼出勤で今来たウチ一番の若手と、お花畑モードの長谷川ちゃんが居た。

「あー、長谷川ちゃんは今片倉モードだから何を言っても駄目だね松崎さん」
「ていうか、長谷川ちゃんがまっさんと何かあるはずないか」
「…お前ら黙れよ…」

どうやら、俺の午後からの労働はマイナスからスタートの模様。

「松崎さん倉持さん土田さん、コンチハー」

長谷川ちゃんから解放されたらしい片倉が、コンビニの袋を片手に挨拶をして自分の机に向かう。

倉持や土田が適当に挨拶を返し、俺も右手を軽く上げることで返事をする。

今日のメンツはこれだけか。それじゃ、これから午後の仕事開始だな。

そう思った俺が新聞をたたんだのと、長谷川ちゃんがこんにちは、と営業用の声を出したのは同時だった。




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