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□白兎運輸サービス(3)
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「どーも片倉です」

応接室のソファーに腰掛けた男は、薄い鼻に眉毛のない、切れ目のように細い眼をしたいかにも胡散臭い奴だった。

「成る程、受け付けのねーちゃんがアンタを出した理由がわかったよ」

男は俺を見るなりそう言うと、喉の奥でぐつぐつと笑った。

「はあ、どーも」

長谷川さんが俺のことをどう言おうが、目の前のこの男が何者で依頼がどんなものであろうが、興味はない。
ただ早く仕事を終わらせて帰りたい、そんだけ。

「で、何をどこまで運べば良いんですかね」

さっさと終わらせようと男に問い掛ける。
男は嫌な笑みを顔面に貼りつけると、口元を歪めた。

「ここで話すのもなんだから、にーちゃんのトラックへ行こうか」
「はあ、まあ良いですけど」

男に促されるままトラックへ向かう。





助手席に乗った男は、運転席を見回すと酷く殺風景だなと笑った。

「トラックの運転席ってのはもっとこう、乗り手の趣味やらがごちゃごちゃしてるモンじゃねーのか」
「俺はうるさいの嫌いなんで」

適当に返事をして、先程応接室でしたのと同じ質問をする。
男はつれないねぇ、と笑うと、さっきよりは幾分か真面目な顔をした。

「にーちゃんに運んでもらうモンは、オレの相方が準備してる。今からソレを取りに行ってほしいんだ」

良いかい?男はそう尋ねたが、その問い掛けが答えを求めていないことは馬鹿でもわかる。
第一、金を払ってもらえるなら俺たちに拒否する理由はない。

「良いですよ。で、どこまで?」

男は歪んだ笑みを浮かべると、軽く顎をしゃくった。

「案内するから、とりあえず出しな」

返事をするのも面倒臭くなって、俺はそのままキーをひねった。

傾きはじめた日の中、うるさいエンジン音が響く。




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