企画作品集


□白い兎と白い雪
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土曜日の午後のことである。今日は暇かな、なんて思いながらあくびをした俺に、奇妙な仕事が回ってきたのは。



「倉持くん、奥でお話聞いて」

いつも通り、長谷川ちゃんの声にはいはいって返事をして依頼主を見た俺は、絶句。

…お人形さん?

立っていたのは、色白で、細くて、可愛らしい顔立ちをした、ひらひらふわふわの服を着た女の子だった。

「…ども」

かろうじて絞りだした声に、彼女は困った顔で会釈をする。
お人形さんは俺が案内した応接室のソファーの上で少しぎこちないおさまりを見せた。

「それで、依頼内容についてですけど」
「えっと…」

お人形さんは、見た目より少し低めの声で呟くと、言いにくそうに体を少しよじる。
仕草がいちいち可愛らしいんだけど何だこの生きものは。

こんな薄汚れた社会のこんな薄汚れた会社に、こんな綺麗な子が来るなんて誰が予想したろうか。
担当は俺で良いのか?こういう子は片倉に回さなくて良いのか?回すって何だ?

とかくだらないことを延々と考える俺の耳に、お人形さんの小さな呟きが届いた。

「僕を、配達してほしいんです…」





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