mini2

□アッシュ
1ページ/1ページ





 焦燥感に駆られる毎日を過ごしています。

 深夜、何となく眠れなくなって携帯をいじる。真っ暗な部屋に画面の明るさが痛い。何を見るでもなく、ぼんやりと漫然と画面を見る。

 原因はわかっている。でも、今の僕にはどうしようもない。

 明日も仕事なのに、なんてことを考えながら、それでも睡魔は帰ってこない。もう若くないから、徹夜なんてできないのになあなんてことを思いながら、それでも携帯をいじる手は止まらない。

 画面の中は平和です。嘘みたいに。

 ふと視界に入った自分の髪の毛を見る。この前染めたばかりだから、まだ色は褪せていない。次はいつ美容院に行こうか、少し悩んで当分先で良いなと納得。

 最近はつらいことも悲しいことも少なくなりました。

 眠れないのはつらい。脳みそが休まる時間がないからつらいのは当たり前なんだけど。このつらさは何度経験しても慣れない。否、慣れたくない。

 それでも、今でも思います。

 どうせ思考が止まらないなら楽しいことを考えようと思うのに、中々楽しいことは思いつかない。難儀なことである、なんて、どこか他人事に今の自分を客観視している。くだらない。

 時間が戻せれば良いのに。

 悲しいことも苦しいことも過ぎ去れば過去のことだ。笑える日だって来る。喉元すぎればなんとやらってこと。それでも、眠れない夜はつらい。

 人生をやり直せるなら僕は真っ先にあの日へ行きます。

 フィクションで塗り固められた画面に、安心感を覚える。





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ