mini2

□Regret
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 好きだと言えなかった。それだけだった。

 夏のうだるような気温の中、ぼんやりとあの日々を思い出す。あの頃も暑かった。ひまわりを見に行った。散歩をした。たわいもない会話が、何よりも楽しかった。

 好きだと言えなかった。言えないくらい好きだった。

 声が聞きたいと思う。今更、何を虫の良いことを、なんて自分で思いながら古い携帯の履歴を漁る。見つけてしまった番号に、指と思考が止まった。

 好きだと言えなかった。言ったら終わってしまう気がしていた。

 会いたいと思う。今何をしているのかと思う。他に好きな人が出来たのかと思う。そうだったら嬉しいけど悲しいと思う。

 好きだと言えなかった。わたしには勿体無い人だった。

 せめて、わたしの最期の日には声が聞きたい。終わってしまった恋を、綺麗なまま大事にとっておきたくて。

 伝わらないように必死に隠していた思いが、火花のようにわたしを焦がす。
 もう一度だけ、心の底から、そう願った。






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