してん

□私的無神論
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「先輩」

「あ、財前」

「何しとるんですか」

「ちょっとな」

「…泣いとるんですか?」

「あ、れ、ばれとる?」

「ばればれですよ」

「うーん、まいったなあ」

「で、何で泣いてるんですか」


俺がそう言うと先輩は少しだけ体を強張らせた。先輩が泣いとる理由なんて、とっくに知っとったけど。


「白石に、振られてもた」

「告白したんですか?」

「おん」

「やっぱりあんたは馬鹿ですよ」

「ひどいわ…」

「あんたは、ばかです」


ほんまに大馬鹿者や。もう一度はっきりと言うと、先輩が困ったように笑う。それから、俺の瞳をとらえた。それは間違いなく、俺に向けられた視線で、間違いなく俺がずっとずっと欲しかったもの。俺を見て、何度そう願ったんやろう。俺の気持ちなんかまるで気付いてもらえんくて、先輩は、ほんまに酷い人や。


「先輩は、大馬鹿者ですよ」

「ちょい、先輩が泣いとるんにそれは…」

「な、んで」

「え?」

「なんで白石部長なんですか」

「なんでって…」

「俺を見てください」


そう言って先輩の腕を掴む。何で白石部長なんや。なんで、俺やないんや。ずっと、ずっと俺を見て欲しかったんに。俺がどれだけ、あんたを。そこまで考えて、止めた。何を止めたかって、そりゃあ、考えるんを。馬鹿らしくなってしもた。考えれば考えるほど、頭が狂いそうになる。


「ざ、いぜん?」

「はは、参ったわ。俺もとんだ大馬鹿者みたいです」

「え?」


「先輩、好きです」


ほら、そう言うと彼は困った顔をするんや。叶いっこないってちゃんと知っとるはずなんに、零れた気持ちを拭いきれんくて、思いを伝えてまう。もっと上手なやり方ぐらいあったはずなんに、それでも気持ちを伝えてまう俺たちは、ほんまに大馬鹿者や。









「白石部長」

「なんや、財前」

「ユウジ先輩のこと振ったんですね」

「…しゃーないんや、今は大事な時期やから」

「…どういう意味ですか?」

「いや、もう部活も引退したことやしそろそろ受験に専念せんとやろ?今は忙しくてそれどころやないねん」

「は」

「やから無事に高校受験終わった時に、俺から改めて……」


なんやその悲しげな表情は。そのうっすらと赤い頬は。…ああ、結局失恋したのは俺だけっちゅーことか。ほんま大馬鹿者ばっかやな。

















リクエストありがとうございました^^いきなり告白をさせてしまったのですが…大丈夫ですかね。報われない恋大好きです。修正や書き直しの希望がありましたら是非是非><ありがとうございました。




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