カメリア

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ごめんね

さよなら





Goodbye favorite people






「火炎放射!波動弾!ハイドロポンプ!」

「エアロブラスト!」

「サイコキネシス!!」

3匹の攻撃と敵の攻撃が相殺。
反撃できない一瞬を狙って結月の攻撃。

与えるダメージは微々たるものだが、塵も積もれば山となる。
加えて向こうは強力な技の連続。疲労はすごいだろう。

「…チビどものちから舐めてたな」

当たり前だ。あたしの子達は強いんだから
叫んでやりたい気持ちを抑えてじっと見る。

「にしても伝説様に楯突こうなんてな。ルギア、お仕置きしてやれ」

「結月、守っ「おせえよ」」

バシン、と何かが叩かれる鈍い音が聞こえる。
横を見れば皆がぐったりと倒れていた。

「皆!!」

駆け寄ろうとするが、右腕を掴まれ阻止される

「痛っ!」

「ああ、痛い?悪いな加減できなくて」

「うぁっ!?」

謝っておきながら力を緩めることはなく、更に首を締め上げるシュウ。
その目は憎悪に満ちている。

「…弱い。人間の中にいるから、そんな雑魚ども使ってるから弱くなるんだよ」

「ぅ…」

「残念だな、弱かった俺に殺されるなんて」

更に力が加わり、気道が塞がれる。
酸欠と痛みで意識が飛びそうになったが、不意に彼の手が離れていった。

足りない酸素を取り込もうと大きく息を吸う。
痛む喉をさすり、むせながらシュウを見ると忌々しげに何かを見ている。
あらぬ方向に曲がった腕を抑えながら。

「…おっかしいな。なんでお前動けてんだ?」

動けない程度に痛めつけたはずなんだけど。
同じ方向を見れば、立ち上がるのもやっとなほど傷ついている結月が怒りの表情を浮かべ、額の宝玉を光らせている。

ルギアに指示を出される前に、ボールに3匹を入れ走って結月を抱きしめる。
止まらずにシュウとは反対方向に進む。

「逃がすか!!」

ハイドロポンプが背後に迫ってくる。
かわせない。
そう直感する。

もう迷ってられない。

迫り来る水に向き合い、右手を左から右へ動かす。
途端に生まれる炎の壁。

蒸発する水の音が聞こえる。
大量の水蒸気が発生し、視界が白に染まる。

すかさずに円を描くようにシュウの周りに炎を生み出す。

少しの時間稼ぎにしかならないが、みんなをどこかに避難させるには十分だ。

腕の中の結月が服を噛む。
あたしの考えを読み取ったんだろう。絶対に離さないからね。そう瞳が語る。

効果抜群の悪タイプの技をくらい誰よりも痛いはずなのに、助けてくれた結月。

「ずっと、助けてもらってばっかりだね。仲良くなってから、ずっと」

寂しい時も、悲しい時も、辛い時も。
ひと時も離れないで、一緒にいてくれた。
旅に出た時だって、あたしを支えてくれた。

「結月がいたから、あたし頑張れたの。ありがとう。大好きだよ」

できればずっと一緒がよかった。
離れたくない。

頬を雫が伝う。
悲しげに鳴く結月と服を離す。

「今度はあたしが、助ける番。あなたを、みんなを」

こんな形でしか恩返しができないあたしを、どうか許して。

ぐったりと意識を失った結月をそっと地面に寝かせる。
その近くにボールをホルダーごと置く。

「ごめんね。さよなら」

涙が止まらない。
こんなにも、弱くなっている自分に笑えてくる。

いつの間にか降っている雨の冷たさが、頭を覚ましてくれる。

さあ、反撃の時間だ

















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