鉛色の疾風
□消失と出会い♯1
1ページ/1ページ
思い出しただけで怒りが沸いてきて、鴉はマントの中のナイフを握りしめる。
パンは食べ終わったし他にやることもない鴉は、とりあえず寝ることにした。
壁にもたれ掛かり、目を閉じる。
瞼で視界が塞がれ、目の前が真っ暗になる。
目を閉じて眠りに就こうとしてからしばらく経った。
…ん?
目は閉じたままなのに、真っ黒だった視界が真っ白に光っている。
不審に思い目を開ける。
が、開かなかった。
眩しすぎて目が開かない。
…なん、だよ…これ…っ
目をぎゅっと閉じてから両手で覆う。
ちょっとしてから手を離すと、瞼の裏はいつも通り黒に戻っていた。
恐る恐る、そおっと目を開ける。
…!?
そこには、信じられないような景色が広がっていた。