ブック8
□哀恋歌
1ページ/4ページ
小さな振動が全身に伝わって、頭のど真ん中がゴンゴン揺れる。
(…気持ち悪い)
窓を少し開けて風を感じても、
排気ガスの臭いが鼻をかすめ、なんだか胃が回ってる気になる。
「…父さん、まだぁ?」
「なんだ、もう酔ったのかぁ?」
正面のミラー越しに父さんが僕を見た。
「うん、酔った」
震えた声が
なんとも情けなくなる。
(昔から、乗り物には弱いんだよね…)
ふよふよと前髪が風に揺られ、
眠気を誘う。
「……君は、この町にいるのかな…」
T 転校生
。
→
次へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ