ブック8

□哀恋歌
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小さな振動が全身に伝わって、頭のど真ん中がゴンゴン揺れる。




(…気持ち悪い)



窓を少し開けて風を感じても、
排気ガスの臭いが鼻をかすめ、なんだか胃が回ってる気になる。



「…父さん、まだぁ?」


「なんだ、もう酔ったのかぁ?」



正面のミラー越しに父さんが僕を見た。



「うん、酔った」



震えた声が
なんとも情けなくなる。





(昔から、乗り物には弱いんだよね…)



ふよふよと前髪が風に揺られ、
眠気を誘う。





「……君は、この町にいるのかな…」






 T 転校生






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