ブック10

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「すみません。」






キラさんがもう写真を撮らないという事を、ムゥ先生に伝えて
私は頭を下げた。





「そっか…まぁ、しょうがないなぁ」





「………」



「どうした?クライン」



ずっとうつ向いている私にムゥ先生は首を傾げる。




「えっ…あ、いえ…」



「…ヤマトさんを、あまり責めないようにな?」



ムゥ先生は、少しバツが悪そうに笑う。




「彼にだって事情があったんだろう?」




「そう、ですね…」







そうだと、思いたい。




子供達ととても楽しそうに笑う彼を

あんなに素敵な写真を撮れる彼を






“お金にならないものを撮ったって意味ない”




あの言葉は
彼の本当の気持ちだと、信じたくない。








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