ブック10

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「ねぇ、キラ。あんた、何かあったの?」




朝食を運びながら、母さんが心配そうに尋ねてきた。




僕は目を丸くして、首を傾げる。




「…何だか、元気ないみたいじゃない?」



「そう?そんなことないけどなぁ」





目の前に置かれたご飯に手を付ける。
本当に久しぶりに食べる“お袋の味”に涙が出そうだ。




「なら、いいんだけど…」




釈然としないながら、母さんもご飯に手を伸ばした。




口にご飯を流し込みながら、僕は心で謝った。







―親不幸でごめんね。








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