ブック10
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「どうして?」
情けない声が出た。
彼女は、彼女特有のふわりとした笑顔を作る。
「ムゥ先生に、お休みをいただいて」
「そうじゃなくて…」
そこまで言って、僕は言葉を呑む。
どうして?なんて、答えは分かってる。
彼女は…
「貴方に、会いたくて…」
ほら、優しい。
「貴方が、心配で…」
そして、酷だ。
『心配だから会いにきた』だろ?
ほら、やっぱり…
分かっていても、同情としか思えない僕。
「…そう……」
君は、ラクス“先生”で、僕は君の勤める病院の患者だ。
それ以上でも、それ以下でも、ないと思いたい。
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