ブック10

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「驚いたわ。起きたら、ラクスさんがいないんだもの」



「すみません」




泥だらけになりながら、母さんは、ラクス先生が買って来た花を埋めている。



不器用ながら、ラクス先生も土をポンポンとたたく。



僕はそれを部屋から見守った。
母さんに「あんたも手伝いなさい」と言われそうだから、お茶でもいれてあげようか。




「ねぇ、カリダさん」


「なあに?」




「…花が枯れてしまうのは、とても悲しいことです。」



ラクス先生は、そっと萎れて下を向いてしまった花に触れた。




「そして、花が枯れるのは誰のせいでもありません。…カリダさんのせいでも、花のせいでもない。」








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