ブック10

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ムウは、自分をひたすら責め、患者の家族に何度も何度も謝罪した。



「…医師を辞めます。……それで許される事ではありません。けどっ…!」


拳を作り、肩を震わせるムウに、患者の夫は告げる。



「貴方は、医師を続けなければなりません。」


「……え?」


「妻のぶんも、貴方は医師として沢山の患者を救う義務がある、私はそう思っているよ」


男は、何度もムウの肩を叩く。



「それでも辞めるって言うのなら、この子が大人になるまで待ってくれないか?」



男は、桃色の髪の少女を見た。


少女は黒髪のまだ物心もついてないくらいの少年の手をぎゅっと握り、静かに涙を流している。



「ラクスと言ってな、妻にそっくりだろう…?」



ムウは無言で頷く。

少女の面ざしは、確かに死んだ彼女を彷彿とさせる。









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