ブック10
□プレイボール
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あの夏
初めて踏んだ、甲子園の土。
まだ1年生で、一度もグラウンドでボールは投げられなくて
でも、声を張り上げて応援をした。
けれど、準決勝で1-0で負けた。
悔しくて悔しくて、
僕は宿舎の裏で一人泣いた時、
あの子が現れたんだ。
―すごいですわね、あなた!
その子は薄紅色の長い髪が印象的で、宿舎のお手伝いをしていた。
―投球は、練習でしか見たことがありませんけど、
わたくし、びっくりしちゃいました。
わたくし、あなたのファンになりました!
彼女は、泣いている僕に微笑んだ。
―来年、ここで待ってますわね。
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