ブック10
□プレイボール
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「珍しいですわね」
ラクスはTシャツと短パンというラフな格好でキラの前に現れた。
「いつもだったら、一番最後に起きてくる貴方が…どうしましたの?」
からかう様な笑みを浮かべ、ラクスは手を伸ばす。
キラはグローブを一つラクスに手渡し、
こめかみを掻いた。
「ま、たまには良いじゃないか」
5メートルほど離れて、キラはボールを山を描くように投げ、
それはラクスのグローブに、吸い込まれるようにして入った。
「……キラ」
ラクスもキラへ、同じようにボールを投げた。
「うん?」
「一回戦突破、おめでとうございます」
ボールを取ったキラは、ゆっくりとまた投げる。
「ありがとう、ラクス」
たくさんの人達からもらった「おめでとう」だけど、
ラクスからもらう「おめでとう」が一番嬉しいと、キラは思う。
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