ブック10
□プレイボール
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「あのさ、ラクス」
「はい」
ラクスから返ってきたボールを受け取り、キラは右手でそれを弄ぶ。
「…キラ?」
呼びかけてきたのに、一向に動く気配のないキラに、ラクスは首を傾る。
「…あのさ…」
バシッと、ボールを自分のグローブに投げる。
それを手にとって、また自分のグローブに投げる。
「………………」
「………………」
「………やっぱり良いや」
はあ、と溜め息をつくキラに、ラクスは思いっきり「なんですかそれは!」と叫んだ。
「ちゃんと言ってください。わたくし、ちゃんと聞きますから!」
口をヘの字に曲げて、ラクスはキラに迫る。
キラは意を決して背筋を伸ばした。
「………ラクスっ!」
「はいっ」
あまりにも真っ直ぐで、真摯な声の響きに
ラクスの背筋もピンッと伸びる。
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