ブック10

□プレイボール
3ページ/5ページ





「あのさ、ラクス」



「はい」




ラクスから返ってきたボールを受け取り、キラは右手でそれを弄ぶ。




「…キラ?」



呼びかけてきたのに、一向に動く気配のないキラに、ラクスは首を傾る。




「…あのさ…」



バシッと、ボールを自分のグローブに投げる。

それを手にとって、また自分のグローブに投げる。




「………………」


「………………」


「………やっぱり良いや」



はあ、と溜め息をつくキラに、ラクスは思いっきり「なんですかそれは!」と叫んだ。



「ちゃんと言ってください。わたくし、ちゃんと聞きますから!」



口をヘの字に曲げて、ラクスはキラに迫る。
キラは意を決して背筋を伸ばした。



「………ラクスっ!」


「はいっ」



あまりにも真っ直ぐで、真摯な声の響きに
ラクスの背筋もピンッと伸びる。











次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ