ブック10
□プレイボール
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「え…」
すっかり耳に馴染んだ声が聞こえて、
ラクスはゆっくりと振り返る。
「キラっ、どうして…!」
泥だらけのユニフォームに身を包んだキラがそこにいた。
「監督に“休め”って言われてね。
てか、それ何?手紙?」
キラはラクスの手にあったそれを一通、ヒョイと取り上げた。
「アスラン宛て?シン宛て?」
可愛らしい便箋に頬を緩め、キラは首を傾る。
自分宛て、だとはまるで思ってはいない風だ。
「……キラに、ですわ」
「え、僕に?」
確認するように問うキラに、ラクスは無言で頷く。
ラクスの肯定に、キラは僅かに目を見開く。
ラクスから、ラクス以外の手紙をもらうとは。
「この二通も、キラのです」
どうぞ、と渡すと
キラは短く礼を言って受け取った。
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