ブック10
□トレイン トレイン
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ドキドキと、
その笑顔に、生まれて初めて感じる胸の高なりを覚えた。
「……いいえ」
《次は―駅、―駅〜》
「……あ」
「?」
車内アナウンスから、次の到着駅が聞こえて僕ははっとする。
(次で降りなきゃ)
彼女を支える手に力が入った。
(まだ離れたくない)
「あの、わたくし次で降りるのですが」
「え?」
彼女はにっこりと笑って首をかしげた。
「同じ学校のようですし、よろしければ一緒に登校しませんか?」
彼女は自分の制服の腕章を指差す。
それは僕の制服の腕章と、同じものだ。
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