短篇

□白春
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。。。白春(アスカガ)





…夜が更けてゆく。


「…ん、どうした?」
視線に気付いた青年は柔らかく問う。
程好く筋肉のついた、しかし白い細腕が伸ばされ温度が伝わってくる。

「…お前…体温高いよな」
呼称と違い、口調は安堵の色を充て。
「そうか…?」
カガリが低いんだろ。アスランは両腕を首に回し増える体温を確かめながら、翡翠の珠を細め口を綻ばせた。

彼の言葉に負けず嫌いの幼なじみの姉は勝ち気な笑顔で返す。
「ふふっ、わたしは大人だからなっ。子供より体温は低いんだ」
「…誰が大人だって?」
「わ、た、し、だっ」
「……つまりは…俺が子供だってことか?」
問うと、更に勝ち誇ったような笑み。
「ああ。そうなるなぁ」
「…。」
言ってくれる、瞳はそう云い少しの間を置いて悪戯に光る。


「…カガリ。」
「ん?」
アスランは唇が触れるか触れないかの距離、鼻をあてて近付く。
「…、っ…」
「あれ…?照れるの?」
大人なんだろ??

二人の肌を包む布を肩まで手繰り寄せ、次いで首だけではなくカガリを身体ごと抱き寄せた。
すると小さな身体を更に縮ませ紅い顔にのる瞳はきゅっと堅く閉じられ。
腕の中愛おしい彼女。

…自称大人の女。
「…ぷっ」
「、!?」
ははははは、…カガリから顔だけを離して久しく聞かないアスランの笑い声が響く。
「なっ…」
何がおかしい!!
見上げる大人の女に、…否もはや紅潮した肌に弁解は出来ぬだろう可愛らしい少女は、笑い声が自分のせいでなければ一緒に笑い合えたのにと惜しさも覚えつつ。
アスランは笑い上戸ではないだろうが、半年に一回、笑うと止まらなくなるような癖がある。

「、っははは、は…、…ぁ。悪い悪い」

「…全っ然そう思ってないだろうお前」
体温同じく冷ややかな目線。
「ぁ、うん。」
「!!なッ…!こ、の…バカやろっ!」
固まっていた腕をあげて胸板をこづくがそのまま強く掴まれ。
抵抗無く重なる唇の音。
「!、んん…ッ」
深く長く続くそれに、全身の力が抜けるような感覚。
「…ん、ぁ…ッ」
愛おしいと思う。
すべてで、欲しいと思う。
「…カガリ…、、」




…夜は更けてゆく。





。。。END…
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