短篇

□ねむりうた。
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。。。ねむりうた。(シンステ)






『ステラぁぁぁああッ…!!』

俺が、守るハズだったもの。
俺が、守れるはずだったもの。

『ステラ…!!…ッく、ゴメンッ…!!』


…もう声は届かない。


…何も、聴こえない。



冷たくなった身体。
雪落ちる岬に心堕ちた姿態。
枯れた頭に動きも渇いていて。

シンはステラを抱えたまま地面に音無く静かに崩れ落ちる。



…ステラ…、


…俺は、どうしていつも大事なものを守れないんだろう。


この手は、何の為に?


この瞳は、何を映すため?


…ステラ…。俺は…

笑っててほしかったんだ。
…たとえ、その笑顔をそばで見られなくなっても。

きみを戦わせずに済む方法があることを知ったから。

なんだってやってやる。

…俺が戦いを終わらせてやる。


なのに…


終わる未来に、もうきみはいない。

俺の未来に灯るえがおが、見えない。

「見えないよ…ステラ…」

瞳の渇きは潤されることなく再び溢れ出る大粒の雫が、ステラの頬を濡らす。


俺は…、失ってばかりで…

「ステラ…」


永い眠りを。

海に還って。


沈む肢体を見送りながら懐うは屈託なく笑うきみの顔。

『…シン…、ステラ…好、き…』

…ステラ…

「俺も…」

好きだよ。

大好きだよ。

忘れやしないから。

きみの声。

きみの笑顔。

…ステラ…。ねぇ、聴こえる…?

すきだよ…。

ステラ…



「…おやすみ…」







。。。
力が欲しい。

悲しみを繰り返さないように。

忘れないために。

それは若さ故、弱さゆえ。

未来のために。







。。。END…?
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