秘密の部屋
□第17話 屋敷しもべ
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「危険がせまっています」
屋敷しもべのドビーがそう言って私の前から姿を消した。
私はとりあえず、いつもと変わらず食堂でみんなと夕飯を食べ、みんなと何気ない会話で盛り上がった。
が、内心はドビーの言った事が気になって気になって落ち着かない。
夕飯も食べ終わり、みんなそれぞれの部屋へ戻って行く。
私は、誰もいなくなった事を確かめ、後片付けをする園長先生に話をした。
「先生。私、今すぐにホグワーツに戻りたいんです」
園長先生は手を休めず私の話を聞く。
「おや、気が早いですね〜。何かいいことでもあったんですか?」
「屋敷しもべが現れて…ホグワーツに危険がせまってると…」
そう言うと、片付けをしていた園長先生の手がピタリと止まった。
「屋敷しもべ…ですか?」
先生は私の方に顔を向けて話し始めた。
「その屋敷しもべはどのような危険が迫ってると言ったのですか?」
「…内容までは…。でも、私の…私の友達に危険がせまってると…だから私、なんかいても立ってもいられなくて…」
部屋でドビーの言っていた事もすべて話した。
すると先生は少し驚いた顔をしながら
「ハリー・ポッターですか?」
ハリーの事を話したら最初はビックリした顔をしたが、何かを思い出したように徐々に笑顔になって行き、最後は
「そうですか。あら、そうなの?ウフフ。素敵ね」
なんて言ってる。
当然私の頭にはクエスチョン。
「…せ、先生?」
急にどうしたと思った私に
「あら、ごめんなさい。大事な話の途中でしたね。つい嬉しくなってしまいましてね」
ハリーの名前を言っただけでなぜ嬉しくなったのかは解らないが、今はそこではない。
「そうゆう訳なの先生。お願いします」
「そうですね〜。でもナエ?ホグワーツへ行く為の汽車は臨時はありませんよ?それに…」
それに?
危ない事に首を突っ込むなとか言うのかな?
そんなの構わないと言ってやろう!
そう意気込んでいたら
「まだ二年に必要な教科書買っていないですよ?行くのはそれからですよ」
そっ…そこですか…
ズッコケてしまいそうなぐらい悠長な事を言う先生…。
「まぁ…確かにおっしゃる通りなんですが…」
でもやっぱり心配なんだよな…
そりゃ…いろいろありまして少し気まずい部分もありますが。
でもそれとこれは別の話しだ。
私が悩んでいると先生はニッコリ笑って
「大丈夫ですよ。夏休みはもうすぐ終わりです。あと数日じゃないですか。それに、汽車の中でもお友達にあえますよ?まずは明日、二年生で必要な物をそろえなければ。明日は一緒にダイアゴン横丁へ行きましょう」
マジですか!?
先生も付いてきてくれるなんて凄く嬉しいのだが……
「先生…イギリスは日帰りでは帰れませんよ?」
飛行機乗ってイギリス行ってお買いものしてさぁ帰ろう!
なんてプランは成立しないのが現実。
泊まりで行ったらこの孤児院はどうなるんですか?
と思っていたら凄い答えが返ってきた。
「心配はないですよ。お昼頃行っても夕方前には戻れますからね。あ〜でも一応明日の夕飯の下準備だけはしておきましょうかね〜」
なんて言ってる。
……なんで?
どうして?
不思議そうにしている私に
「そんな顔しなくても明日になればわかりますよ」
どうやら明日までの秘密らしい。
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